HACCP制度化において、一部の業種や大規模な企業以外の小規模企業は、「HACCPの考えを取り入れた衛生管理」を義務付けています。この微妙な言い回しの意味は何なのか!?わかりやすくまとめると次のようになります。
- 認証制度ではありません。計画をつくり運用し、ちゃんとやってるよーと、保健所に説明できればいいです。
- コーデックス7原則に則ったガチガチのHACCPシステムの構築は求められていません。
- 一般衛生管理が基礎になります。これはガチガチHACCPと同じです。
- 危害分析をちゃんとやります。そしてCCP(重要管理ポイント)を決めます。一般衛生管理で食中毒を十分に防止できる場合はCCPの設定はしません。
このように、これまでの厚労省や都道府県が認証してきたHACCPと比較して、求められるレベルはかなり簡素化されています。そして、厚労省も小規模事業者の負荷を考慮して、各業界団体が作成した手引きをホームページに掲載しています。
今回は、日本豆腐協会が作成した手引書の中身を確認していきます。HACCP制度化に実施するべきことは次の3つです。
- 衛生管理計画の作成
- 計画に基づく実施
- 確認・記録
- 衛生管理計画
衛生管理計画は、①一般的衛生管理計画の作成と、②重要管理ポイントの決定、の2つがあります。一般衛生管理は、従業員の衛生教育、防虫防鼠の管理、クレーム発生時の対応方法など9つの管理項目があります。詳細については、「なるほど!HACCPの土台となる一般的衛生管理(PP)」をご覧ください。そして重要管理ポイントについては、ブロックフローの作成、危害分析の工程を経て、重要管理ポイントを決めていきます。
2.計画に基づく実施
文字通り、「衛生管理計画」を粛々と進めていきます。そして、計画は実施して初めて効果のある計画かどうかが分かります。従業員の健康チェック項目に追加すべきことが増えた、防虫防鼠の定点観測の場所を変更する必要性が生じた、重要管理ポイントにした工程は、一般衛生管理をしっかり行うことで品質事故を防止できるようになった、など、状況に応じて計画をブラッシュアップしていきます。
3.確認・記録
「衛生管理計画」を計画通りに進めていることを第3者(保健所や認証機関)に示すためには、記録が必要です。記録は、衛生管理計画に基づいたもので、日報や週報・月報、○○チェック表などが挙げられます。これらは5W1Hが記録できるようなフォーマットにします。いつ、誰がチェックし、管理項目がどのような状態だったのか(従業員の健康状態がどうだったのか、冷蔵庫の温度がどうだったのか、異常時の対応は誰がどのように行ったのか)を記録します。そして記録書を責任者が確認し検証します。計画の変更が必要であれば柔軟に変更し、新たな計画(ルール)に落とし込みます。
具体的にな記録書については、業界団体が作成した手引書内にサンプルが示されています。
このように、HACCPの考えを取り入れた衛生管理、とは、①一般衛生管理と重要管理点について確認頻度や方法・異常時の対応方法を決める、②粛々と計画通りに運営し、必要に応じて計画や確認頻度・方法を変更、③記録をきちんと残す、を繰り返すことです。これはガチガチのHACCPでも同様なのです。
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